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スキンケアコラム/動画

肌の基礎知識

表皮のしくみと働き

皮膚を構成する3層の中でも一番外側にある表皮。では、表皮と言ってもさらに4層に分かれていることをご存じでしょうか?
表皮内で何が起こっているのかを理解すると、美肌を求める私たちがするべき最も必要なお手入れ方法が見つかるかもしれません。

今回の記事では、表皮にフォーカスして詳しくご紹介します。

1:表皮の働きってなあに?

皮膚の中でも目に見える部分である表皮は、いわゆるお肌のケアに最も関係の深い部分と言えます。表皮は4層から成り立っていますのでここでは各層の名称とその役割をそれぞれ解説します。

■ 表皮の一番下の層である「基底層」
基底層とは、表皮の最も深い部分に位置し、薄い膜となって表皮の下にある真皮と接合している層です。基底層と真皮はたがいに絡み合うように波のように入り組んだ構造をしており、真皮側の毛細血管から拡散によって栄養や酸素を受け取りながら細胞分裂を繰り返し、新しい皮膚を生成しています。この機能を正常に行うには、毎日の食生活や睡眠、ストレスなどの体内環境が大きく関わってきますので、規則正しい生活習慣を心掛けるとよいでしょう。
なお、表皮内には血管は存在しません。正確には、真皮の毛細血管から供給される栄養・酸素が、約100〜200µmの範囲で拡散することで表皮細胞が維持されています。

 

■ 基底層の上にある「有棘層」
有棘層は数層から10層ほどの細胞が重なって構成されており、表皮の4層の中でも最も厚みのある層です。基底層と同じように様々な細胞が存在し、一部では細胞分裂も起こりますが、分裂の中心となるのはあくまで基底層です。
有棘層では、細胞が少しずつ成熟し、角質層へ向かう準備をしています。このとき細胞同士がしっかり結びつくことで、後に肌を守るバリア機能の土台がつくられていきます。つまり、有棘層は“肌のバリアをつくるための準備室”のような役割を持っているのです。

 

■ 有棘層の上にある「顆粒層」
顆粒層は1~2層の細胞からなる薄い層です。この層の細胞にはケラトヒアリン顆粒が多く含まれており、ここで細胞は角質層へ向かう最終段階の準備を進めています。ケラトヒアリン顆粒の大きな役割のひとつがフィラグリンの産生 です。フィラグリンは、角質細胞同士をしっかりと結びつけて、肌の土台をつくるたんぱく質で、最終的には分解されて天然保湿因子(NMF)の一部となり、肌のうるおいを保つ働きも担っています。つまり、フィラグリンは「角質層の構造」と「保湿」の両方に深く関わる、とても重要な成分です。
さらに顆粒層では、ラメラ顆粒(オドランド小体) と呼ばれる小さな袋のような構造もあります。この中には、セラミドなどの“細胞間脂質”がぎゅっと詰まっています。細胞が角質層へ進むタイミングで、この脂質が外へ放出され、角質細胞のすき間を埋めることで、肌を守るバリアの土台となる“ラメラ構造”がつくられます。

つまり顆粒層は、
● 角質層の形を整えるフィラグリンを準備する
● バリア機能の材料となる脂質を届ける

という、肌の健康に欠かせない2つの大事な役割を同時に担っている層なのです。

 

■ 一番外側にある「角質層」
角質層は、これまでの層で押し上げられた細胞が、その役割を終えて最後にたどり着く層です。角質層まで来ると、いわゆる死んだ細胞がパイの表面が何層にも重なるように、10~20層にも連なって肌の表面に留まっています。一般的に「角質」と呼ばれるのは、この部分ことを指しています。角質は通常、肌の新陳代謝に合わせて自然に剥がれ落ちていきます。
角質層は吸水性や保湿性に富んでいる層のため、正常な状態だと15%~20%の水分を含んでいます。私たちが化粧水や美容液を塗ってうるおいを与えているのもこの角質層です。また、角質層には水分以外にも天然保湿因子(NMF)やアミノ酸、乳酸など、肌のうるおいを保つ成分も蓄えられています。
もし、肌が乾燥していると感じた場合は、この角質層が乱れているサインかもしれません。角質層の水分量が低下していること、そして 細胞間脂質(セラミドなど)のバランスが崩れていることが原因です。

角質層はうるおいを保つだけでなく、外からの刺激や、細菌や紫外線から肌を守り、水やその他物質の体内への侵入を防ぐ“バリア”といった重要な役割も担っています。肌の状態を示す目安としては、次のように考えられています。
● 10%以下:乾燥しやすく、ひび割れなどのトラブルが起こりやすい状態
● 20%以上:柔らかく、うるおいが保たれた理想的な状態
角質層の水分量は、肌の見た目や手触りだけでなく、バリア機能の働きにも深く関わっているため、うるおいをしっかり保つことが、健やかな肌づくりの基本となります。

2:表皮を構成する細胞とは?

表皮を構成する細胞の90%以上を占めるのは、ケラチノサイトと呼ばれる角化細胞です。基底層で生成されたケラチノサイトは、有棘細胞、顆粒細胞、角質細胞とその形を変えて徐々に上に押し上げられ、角質層にとどまったのち角片となり細胞の役割を終えます。終止符を迎えた角片は、いわゆる角質となって剥がれ落ちます。
新しい細胞として生まれてから角質となって剥がれ落ちるまでは、通常約28日間で、この周期をターンオーバーと呼びます。
ですが、外的要因や加齢など様々な原因を受けてこの新陳代謝は弱まり、通常の周期が徐々に長くなることでターンオーバーが乱れてしまいます。
その原因の1つには、古い角質が剥がれ落ちていないことが挙げられます。

3:美しい肌を目指すには

美しい肌は、皮膚のターンオーバーがあってこそ作られます。本来なら古い角質は自然に剥がれ落ちますが、これが肌表面に残ったままですとどれだけ高価な化粧品を使っても、成分が角質層内で均一に拡散できず、うるおいが行き渡りにくくなります。

古い角質がたまると、肌触りがごわついたり、乾燥しやすくなったり、肌色にも影響し、ザラツキや乾燥、くすみや黒ずみと言った見た目の変化にもつながってきます。これらを解消するのは表面に留まった剥がれ落ちるべき角質を取り去ってあげ、乱れたターンオーバーを整えることが大切です。

そこで毎日のスキンケアに取り入れられることとして有効なのは、ピーリング石鹸による洗顔です。ターンオーバーを整えてあげることができるので、表皮の働きを味方につけて、健やかで美しい肌を保つことに役立ちます。ぜひ、取り入れてみてくださいね。

Dr_SakuraIzumi

監修:COCO MEDICAL CLINIC(ココメディカルクリニック) 泉 さくら 院長

【所属学会】日本皮膚科学会皮膚科専門医

【所属学会】日本皮膚科学会皮膚科専門医

最終更新日: 2026年2月20日